これはある夏の日の出来事でした。
僕は、物件の管理を委託をしている賃貸管理会社から、毎月決まった日に当然のごとく送られてくる『業務報告・送金明細書』が届くのを、いつも通り待っていました。
その管理会社とは、もう5年以上前に委託契約を結んでおり、家賃の回収や入居者からの相談、大家である僕への業務報告も、毎月欠かさず行ってくれており、良い関係を築いていました。
「そんな、毎月業務報告までしてくれるなんて、結構良い管理会社やん!」と思ったそこのあなた。
そう!ここまで細かく業務報告してくれる管理会社はなかなか無く、長年委託している身としては、一度も不満を感じた事がありません。
だからこそ僕は、後にこの管理会社に裏切られることになるのです。
当ページは、大家をしていて体験した恐怖の実話パート2を紹介していきます。このブログでは、僕が思う大家業の良い面の他に、マイナス面も赤裸々に発信していきます。あくまで僕が遭遇したトラブルに対する対処法であり、もっと最適な対応もあると思いますので、一人の個人大家の体験談を「うわっ、かわいそう!」という気持ちで、エンタメとして楽しんで読んで頂けたら幸いです。
序章
毎月決まった日に管理会社から送られてくるはずの『業務報告・送金明細書』が、なぜかその夏の8月には送られてきませんでした。今まで一度も業務報告書が遅れたことは無く、もちろん前月まではちゃんと届いていたので、僕は全く疑問を抱くことも無く「8月はお盆もあるし、報告書類の作成担当者が長期休暇を取っているのだろう」ぐらいの安易な考えのまま、特に何の対応を取ることも無く過ごしていました。
そう、この時すでに、僕の知らないところで事件は起きていたのです。
未送金と音信不通
お盆が明けて、本来業務報告書が送られてくる日にちから、一週間程過ぎましたが、まだ報告書が届きません。
これには僕も少しおかしいと感じだしましたが、まだまだ安易な考えだった僕は「報告書が遅れているだけで、送金さえしてくれていれば全然問題ないやん!」と思ったまま、振込指定口座の通帳記帳で送金の確認を行いました。
以前、入居者から家賃の滞納をされた経験があり、そのことが今でもトラウマになっていますが(大袈裟)、管理会社に委託している場合は、未払い家賃の催促も行ってくれるので「何の心配もない!あの時とは全然状況が違う」と疑う余地も無く通帳を確認したら…入金が無い!いやいや、管理会社から滞納された話なんて聞いたことも無いし「絶対僕の見間違いや」と思い、もう一度しっかり目を凝らして通帳を確認してみると…やっぱり無い!
一気に不安が強くなり、すぐに管理会社に連絡をすると「ただいまの時間は業務時間外です」…。「え、いや絶対に業務時間内やし!」一応、名刺やサイトで確認してみてもやっぱり間違ってない。「おかしいやろ!」と心の中で叫びながら、名刺に記載されている本社代表番号、各支店に片っ端から電話をかけてみましたが「ただいまの時間は業務時間外です」の自動音声が虚しく流れるだけでした。
勘の鈍い僕でも、流石にこれは「管理会社で何かが起こっている」と気づき、まずは何とかして管理会社と連絡を取らないと考え、メールへ連絡しても「返信なし」。だったら次はホームページの『お問い合わせ』で連絡を試みて、やはり「返信なし」。
もう管理会社とコンタクトを取るのは一筋縄じゃ行かないだろうと考えた僕は、次の手段として、直接入居者への連絡を試みました。実は入居当初からそれまで管理会社が全て仲介してくれていたので、入居者と直接会話をするのはこの時が初めてでしたが、過去に自主管理をしていた経験を活かし『管理会社と連絡が取れなくなっている』ことを伝え、現状、管理会社の運営実態が分からない状態なので『9月の家賃は管理会社に振り込まない』ようお願いしました。
とりあえずは、これ以上家賃が管理会社に振り込まれる心配はありませんが、管理会社との契約は続いている状態なので、まずそれを何とかしないければいけません。
この時点の状況を整理すると『8月の送金が未払いのまま』『音信不通』『管理業務が行われていない』これらを考慮した場合、もうこの管理会社と契約を継続しておくわけにはいかないので、僕は今の状態でどうやったら契約解除ができるかを考えました。
管理会社解約に向けて
まず解約の意思を伝えたくても、会社の電話番号は携帯電話も含めて全ての番号で連絡が取れません。合わせてメールやホームページの問い合わせでもやり取り出来ません。そうなると、残る方法として考えられるのが『内容証明』とい制度です。
直接、管理会社を訪問することも考えましたが、結構遠方だったことと、こちらの行動が記録として残る『内容証明』の方が良いと考え、ネットで作成方法を調べながら『8月の送金が無く、連絡も繋がらず、事実上の職務放棄』を理由に、こちらからの解約を伝える文言を記載した内容証明を送りつけました。
とりあえずは、これで反応を待ちます。
合わせて入居者にも『管理会社を解約する』ことと、『9月の家賃は大家である僕自身の口座に直接振り込んでもらう』ようお願いしておきました。
そうして約2週間が経った頃、送った内容証明が受取人不在のまま郵便局の保管期間を超過したとの事で戻ってきました。この時点でも相変わらず管理会社との連絡はつきません。
これで出来る対応はとったので、僕は次の行動に移ることにしました。
新管理会社の選定
まず早急にやらなけれはいけないことは、新しい管理会社を見つけることです。
僕はたまたま以前から付き合いがある別の管理会社の知り合いがいたので、これまでの状況を説明したら、快くその物件の管理を引き受けてくれました。その後すぐ正式に管理委託契約を結んだので、かなり迅速に、入居者に新しい管理会社が決まったと言う報告が出来た方だと思います。
とりあえずこの貸家の管理体制は元通りに戻りましたが、まだ前の管理会社との未送金問題が解決していません。
どうやってこの問題を解決するかを考えていたところ、裁判所から見慣れない1通の封筒が自宅に届いていました。僕は恐る恐るその封筒を開封してみると、そこには僕の予想をはるかに超える事態が発生していたのです。
そして破産宣告へ
なんとそれは『破産手続開始等の通知書』なるものが同封されているではありませんか。もちろん初見です。
以前、入居者家族に夜逃げをされた事がありましたが、今回は規模が違います。もちろん事業ですから上手くいかなくなることもあるでしょう。そんな場合はてっきりに『弊社は賃貸管理業務から撤退することになりました』の様な連絡が事前にあるとばかり思っていました。
ましてや一つの組織が大家への送金を踏み倒して、意図的な音信不通のまま倒産って。やってることの悪質性は一世帯の夜逃げとなんら変わりませんが、おそらく僕の他にも被害者大家が大勢いると思います。
この話の顛末は、僕への1ヶ月分の支払いが未払いのまま、管理会社の破産宣告という形で幕を閉じることになったのでした。
まとめ
前回の『【消えた入居者!】大家歴10年の僕が体験した怖~い話。』では、入居者が夜逃げした実話でしたが、今回は委託していた管理会社が破産した話をさせて頂きました。
この騒動による、僕の被害額は貸家一軒の1ヶ月分の家賃となります。これが大きかったのか少なかったのかは分かりませんが、
- 入居者はきちんと家賃を払ってくれているので、保証会社は利用出来ない。
- 管理会社が破産手続きに進み、家賃を回収できる見込みが無くなった。
以上の理由で、未払金は諦めることになりました。
管理会社と連絡がつかなくなってからの対処法の手順
僕がこの騒動でとった対処行動を下記にまとめました↓
⓵あらゆる連絡手段を試みる → ②入居者へ連絡をする → ③内容証明を送る → ④新しい管理会社を選定する
では、それぞれ詳しく解説していきます。
あらゆる連絡手段を試みる。
普段電話している番号が繋がらなかっただけでは、ただ通信状態に不具合が出ているだけかもしれないので、代表番号や支店の電話にもかけてみる必要があります。合わせて、メールでのやり取りやホームページがあれば『お問い合わせ』の項目がある場合がありますので、出来る連絡手段は全て活用します。
入居者へ連絡をする。
通常は入居者からの家賃は委託している管理会社に振り込まれ、管理費等を引いた後に大家に送金されますが、管理会社と連絡がつかず送金も無い状態でも、入居者は管理会社の指定口座に家賃を振込んでしまうため、それを阻止するためにも入居者に直接連絡を取って振込みを止める必要があります。
内容証明を送る。
連絡方法の最終手段として、内容証明という制度を活用します。連絡が取れなくても管理会社との契約はそのままになっているので、こちらからの解約の意思を伝えたという証拠を残すために、内容証明を作成して送りつけます。
新しい管理会社を選定する。
管理会社と連絡がつかない=物件が管理されていない状態なので、新しい管理会社を探さなければいけません。僕は知り合いの管理会社に相談しましたが物件の最寄駅には賃貸管理もしている不動産店舗もあったりするので、まずは早急に管理会社を選定する必要があります。
この件は、信頼していた管理会社に裏切られ、知り合いの管理会社に救われた形となりました。管理会社を一方的に信頼して業務を任せきりにしていた僕にも責任はあるのかもしれませんが、出来れは多くの管理会社が前者の様な無責任な組織では無いことを願います。
また他の記事では、再建築不可物件を貸家として運用している内容などを投稿していきますので、これから大家さんを始められる方にとって、当ブログが少しでも参考になれば幸いです。


