【ちがいは何?】戸建てにおける排水処理方法の違い2選。

不動産業界

皆さんが日々のくらしの中で何気なく流している、台所の生活排水やトイレの汚水は、いったい何処にいくのか。ほとんどの方は下水道から下水処理場に行って、そこで汚水を綺麗にしてから海まで流れて行ってるイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。僕もたしか学校でそう習いました。

ただ、実際には下水管が通っているのは、ライフラインが整った都市部などの地域のみで、その他の下水管が通っていない地域では、浄化槽といわれるものを使用して、各家庭で生活排水や汚水をキレイにした後に、側溝などに流され川を通って海まで流されています。

「いやいや、浄化槽なんて聞いたこと無いし、下水道が通ってないなんて、どんだけ田舎やねん!」と思ったそこのあなた。

僕も浄化槽というものを、大家になって初めて知りました。なぜなら僕の所有している物件にも浄化槽があるからです。たとえ大阪で人口の多いエリアでも、まだまだ浄化槽の地域は多いのが現実です。

という事で、今回は貸家の生活排水や汚水の処理方法について解説していきます。『【誰でも出来る!】少ない資金で月5万円稼げる貸家の探し方。』で見つけた物件を対象としていますので、田舎の住宅ではまだまだ多く見られる『汲み取り式』(通称ボットン便所)については、今回の記事内容に入れていないことをご了承下さい。

当ページは、大家歴10年になる僕が実体験で得た気づきを基に、貸家の排水処理方法の種類や、排水切り替え工事事例をご紹介していく内容となっています。主に大家目線で記事を書いていますので、あくまで大家に興味がある方にとってのエンターテイメントの1つとして楽しんで読んで頂けたら幸いです。

ではまず、上記ですでに述べましたが、住宅の排水処理の種類をご紹介していきます。

排水処理の仕組み 2選

住宅の排水処理の仕組みには『公共下水』『浄化槽』の2種類があり、賃貸物件の多くは、使用した生活排水や汚水は公共下水か浄化槽に流されていくのが一般的です。どちらも入居者にとって使用感に大きな違いはありませんが、その仕組みや料金面に違いがありますので、順番に解説していきます。

公共下水

公共下水とは、一般的にイメージされている様に、各家庭から排出された生活排水や汚水が、地下に埋められている下水管を通って、市町村などの各自治体が管理している下水処理場に集められ、そこで浄化された後に川から海まで流れていく仕組みとなっています。

浄化槽

浄化槽とは、家庭から排出された生活排水や汚水が、車庫や物件の裏などの地中に埋没されている小型の汚水処理設備に流れこみ、物件ごとに浄化させてから、住宅前の水路を通って川から海まで流れていく仕組みとなっています。

では、戸建て大家として知っておくべき、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。

公共下水のメリットとデメリット

公共下水のメリット 2選

個人管理が不要

公共下水は市町村や各自治体が管理しており、下水道使用料金を支払うことで利用することが出来ます。個人で管理する必要はありません。

大量の排水にも対応

浄化処理能力が高いため、家族の人数が多い家庭の排水量にも対応することができます。

公共下水のデメリット 2選

水道料金に下水道使用料金が加算される

水道代の請求時に、使用した水の量に応じて、水道料金に下水道使用料金が自動的に加算されて請求される仕組みになっています。

下水管が整備されていない地域では利用できない

下水管が家の近くまで整備されていない地域では、公共下水を利用することは出来ません。

浄化槽のメリットとデメリット 

浄化槽のメリット 2選

下水道使用料金がかからない

公共下水を使用していないので、水道代の請求金額が下水道を使用している物件と比べて安くなります。

下水道が無い地域でも、下水処理ができる

車一台分ほどの浄化設備を物件の地中に埋めて利用するので、公共下水を利用できない物件でも、汚水の浄化能力を有することが出来ます。

浄化槽のデメリット 2選

維持・管理費用がかかる

浄化槽の専門業者による点検や清掃などの定期的なメンテナンスが必須で、年間で維持・管理費用が発生します。また故障の際も修理費用が必要になってきます。

一時的に臭いが発生することがある

トイレを流した直後など一度に大量の水が浄化槽に流れ込むと、一時的に臭いが発生することがあります。

以上が、それぞれのメリット・デメリットの比較でした。

分かりやすいように、かなりシンプルにまとめましたが、実際にはもっと数多くのメリット・デメリットが存在していますので、下水関連会社の専門サイトが発信しているメリット、デメリットについても、必ず調べるようにしてください。

では次は、年間に掛かってくる料金の比較をしてみましょう。

料金の比較

年間の公共下水料金

  • 下水道使用料:月約3,000円×12ヶ月=約36,000円

年間の浄化槽料金

  • 法定点検(年1回):約5,000円
  • 保守点検(年4回):5,000×4=約20,000円
  • 定期清掃(年2回):20,000×2=約40,000円

合計:約65,000円

上記の通り、年間の料金では、一般的に浄化槽に比べ公共下水の方が安くなる傾向にあります。ただし、使った水の量や地域によって料金が異なる為、一概に公共下水が安くなるとは限りませんので、ご注意下さい。

それでは、次は賃貸物件の排水設備に関する事例をご紹介します。

浄化槽物件の運用事例

公共下水物件の場合は、入居者が水道局と水道を使用する契約を交わした時点で、下水道利用を開始する形となりますので、大家が何かすることはありません。

しかし浄化槽物件の場合は、入居者が使用に関して何も知らないことが多く、定期的なメンテナンスも必要となってくるため、大家がノータッチという訳にはいきません。

僕の所有している浄化槽物件では、契約書に「浄化槽の維持・管理は借主負担」と記載し、定期的なメンテナンス費用は入居者に負担をお願いしています。もちろん入居案内で、水道料金に下水料金が掛からない代わりに、浄化槽メンテナンス費用が発生する事を文章でお伝えしているので、そのことで何かトラブルに発展したことはありません。ただし、故障に関しては大家負担で対応する様にしています。

後にトラブルにならないように、事前に入居者と取り決めをしておくことが重要になります。

それでは、もう一つの事例をご紹介します。

浄化槽物件から公共下水引き込みの切り替え事例

元は排水処理が浄化槽の物件でしたが、下水管が物件の近くまで来ていることが分かったので、公共下水への切り替えを業者に依頼しました。

公共下水切り替え工事:約15万円

ただ、この費用は既存の状態や工事内容など様々な要因が関与しており、場合によってはもっと高額になるケースもあるみたいです。 

下水設備工事が出来る業者の探し方は、市町村の公式サイトで『排水設備、指定業者』などで検索すれば数多くの業者がヒットします。費用面や補助金に対する知識に差がありますので、出来るだけ複数の業者から見積りを取る事をおすすめします。

公共下水に切り替えるメリット 2選

  • 維持・管理・メンテナンスが不要になる
  • 臭いがなくなる

初期費用として、ある程度高額な費用が必要となってきますが、大家として入居者に対する排水設備の説明が不要になり、故障することも考えなくていいのであれば、長い目で見ると切り替えておいてもいいと判断しました。あくまで工事費の見積り次第です。

まとめ

今回は、排水設備が公共下水に開通していない『浄化槽物件』に焦点を当てて解説致しました。

もし購入した貸家が浄化槽だった場合、下水管が近くを通ってなければ必然的に『浄化槽物件』として運用していくこととなりますし、事例でご紹介した通り下水管が近くまで来ているなら、見積次第で『公共下水物件』に切り替えておいても良いと思います。10年間大家をしてきた僕の経験で言えば、どちらの排水設備もそんなに大きな差はありませんので、いろんな方向から検討してみて下さい。

また他の記事では、入居付けに関する内容なども投稿していきますので、副業に興味がある方や、大家さんを始めたばかりの方にとって、当ブログが少しでも参考になれば幸いです。

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つじやん

何か自分にも出来る副業は無いかと思い立ち、知識ゼロで大家さんを始めました。あれから10年、今までの体験を基に、これから大家さんを目指される方にとって参考になる情報を発信していきます。

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