生活する上で必要となる熱源。戸建てを人に貸す以上は、その熱源を供給するシステムを物件に導入する責任がありますので、戸建て大家として、どの熱源を選ぶか悩むところです。一般的に熱源を供給する仕組みとして『電気』と『ガス』がありますが、今回は、貸家に導入する『ガス』に焦点を当てて、話をしていこうと思います。
「え、オール電化にはしてくれへんの?」と思ったそこのあなた。
確かにオール電化は魅力的ですが、設備の導入費用がかなり高く、故障した時の修理費用も全て大家負担となってしまう為、賃貸物件にはあまり導入されていないか、もしくは導入されている物件でも、コストを反映して家賃が高めに設定されていることがほとんどです。もちろん僕の所有している貸家にも、オール電化を導入している物件は1軒もありませんので、ガスを供給している物件について話をしていきます。
当ページは、大家歴10年になる僕が実体験で得た気づきを基に、貸家で使用するガスの選び方や、切り替え事例をご紹介していく内容となっています。戸建て大家目線で記事を書いていますので、一般的な使用者の目線では無い事をご了承下さい。あくまでエンターテイメントの1つとして楽しんで読んで頂けたら幸いです。
ではまず、戸建て住宅で使用するガスの種類を紹介していきます。
ガスの種類 2選
貸家で使用するガスには『都市ガス』と『プロパンガス』の2種類あり、賃貸募集をかける前に、どちらを導入するかは大家が決めます。それぞれに特徴がありますので、簡単に解説していきます。
都市ガス

都市ガスは、ガスホルダー(通称ガスタンク)に貯蔵されているガスが、地下のガス管を通じて各家庭に供給されるものです。ガス管の埋没工事が必要な為、ライフラインが整った都市部に多い仕組みとなっています。
プロパンガス

プロパンガスは、ガスボンベを各家庭に直接運搬し、屋外に設置されているガス設備と接続することで家庭内にガスを供給するもので、ガス管の埋没工事がされていない郊外に多い仕組みとなっています。
では、大家としてどちらを導入すればいいのか、それぞれ入居者に対するメリットとデメリットを見ていきましょう。
都市ガスのメリットとデメリット
都市ガスのメリット
- ガス代が安い
- 入居者が自由にガス会社と契約できる
都市ガスのデメリット
- 災害時の復旧に時間がかかる
- ガス管が埋没されていない地域では導入できない
プロパンガスのメリットとデメリット
プロパンガスのメリット
- 災害時の復旧が早い
- どんな地域でも導入できる
プロパンガスのデメリット
- 料金が高い
- 入居者が自由にガス会社を選べない
以上が、それぞれのメリット・デメリットの比較でした。
比較しやすいように、かなりシンプルにご紹介しましたが、実際には大家目線でも、もっと数多くのメリット・デメリットが存在していますので、ガス会社の専門サイトが発信しているメリット、デメリットについても、必ず調べるようにしてください。
では次は、プロパンガス業界特有の制度で、大家が知っておくべき『無償貸与契約』の内容についてご説明します。
プロパンガスの無償貸与契約について
プロパンガスを導入するためには、メーターやホース、固定具など専用のガス設備が必要になってきます。プロパンガス業界には、それらの初期費用をガス会社が負担してくれる『無償貸与契約』という制度があります。
中には、契約にあたって給湯器やガスコンロ、エアコンまで無償で貸与してくれるサービスを付けてくれる会社もあったりします。
一見、大家にとってかなりメリットがあるようにも感じますが、実際には無償で貸与している費用分をガス代に上乗せしているだけなのです。
無償貸与契約のメリット
- 給湯器に対する大家の費用負担が無い
- 入居募集の際に、ガスコンロなどの設備を特典としてアピールできる
無償貸与契約のデメリット
- 入居者のガス代の負担が高くなる
- 契約期間の途中で解約すると、多額の違約金が発生する
無償貸与契約の契約期間は10年から15年で、この間に別のプロパンガス会社に変更したり、都市ガスへの切り替えを行ってしまうと、大家が多額の違約金を支払うことになります。
このように注意しなければいけないポイントが多いのも事実ですが、上記のメリットを上手く活用している大家さんもいたりします。もしプロパンガス会社の無償貸与契約を活用したいのであれば、正しい知識と理解を持ってガス会社と契約する様にしましょう。多くのガス会社が、それぞれの内容や特典を付けて無償貸与契約を行っているので、まずは一社で即決せずに、いろいろなガス会社を比較してみて下さい。
サイド大家の選択事例
僕が『【誰でも出来る!】少ない資金で月5万円稼げる貸家の探し方。』で見つけた貸家の所在地は、比較的人口が多い地域なので、はじめから都市ガスが導入されている物件がほとんどです。ただ1軒だけ、物件の前面道路にガス管が通っており都市ガスを引き込めるにもかかわらず、なぜかプロパンガスを導入している物件がありました。
かなり性能の良い給湯器が付いていたので、おそらく前の所有者が上記で紹介した無償貸与契約を利用していたのではないかと思います。(僕が購入したことによって、おそらく途中解約していると思いますが…)
当時は、単純にプロパンガスより都市ガスの方が、ガス代が安いくて良いと考えていたので、すぐに都市ガスへの切り替え工事を依頼してしまいました。
ガス管引き込み工事:約20万円
工事に結構な金額が掛かってしまったので、今考えればプロパンガスのまま、入居募集を工夫しても良かったかなぁと思っています。
(余談ですが、ガス管引き込み工事を依頼したガス会社さんが、当時の依頼特典としてガスヒーターを無料でプレゼントしてくれました。これが冬はかなり温かいです。都市ガスへの切り替えでも特典を付けてくれる場合もあるので、依頼するガス会社を選ぶ際の判断材料の1つにしてみてはいかがでしょうか。)
まとめ
もし、貸家に導入するガスの種類で迷われるなら、難しく考えずに、ガス管が通っていない地域では、必然的にプロパンガスになりますし、ガス管が引き込めるなら、基本的には都市ガスを導入しておくことが無難だと思います。
ただ、僕の事例で紹介した特殊なパターンもありますので、大家としてある程度経験を積んだ後であれば、その時の最も良い条件で、都市ガスにするかプロパンガスにするかを判断してみてもいいのではないでしょうか。
また他の記事では、下水などの排水設備についての内容なども投稿していきますので、大家さんを始めたばかりの方にとって、当ブログが少しでも参考になれば幸いです。
