貸家探しをしていると、いいなぁと思った物件でも少しだけ予算オーバーで買えないなんてこともよくあります。そんなときは、大阪名物『値引き交渉!』まぁ、不動産売買での値引き交渉なんて、大阪に限らず何処でもされていますが…。
不動産業界では、値引き交渉の事を『指値』と言います。不動産業界用語については『【大家さん必見!】知っておきたい不動産業界用語13選。』をご一読下さい。
この指値交渉、上手くいけば売り出し価格よりもかなり安く物件を手に入れることが出来ます。実は僕も貸家探しをしているときは、結構な頻度で指値交渉を行っています。そうやって実際に安く貸家を購入出来たりもしています。
「そんなん、もう少しまけてくれへんかったら買わへんで!って言えば簡単ちゃうのん?」と思っているそこのあなた。
結論を言うと、僕の経験上そんな事を言ってしまうと、ほぼ確実に指値交渉は失敗に終わります。不動産の指値は、ただの値引き交渉ではなく、タイミングや売主さんの心を掴むことが成功のカギになってきます。
当ページは、大家歴10年になる僕が実体験で得た気づきを基に、売り出し価格に対し指値を入れる際のポイントを解説していきます。僕が行っている『誰でも出来る簡単な方法』をご紹介しますので、エンターテイメントの1つとして楽しんで読んで頂けたら幸いです。
ではまず、不動産業界における指値について、簡単にご説明します。
指値とは
不動産業界における『指値』とは、本来は売り主さんに対して「この金額で購入させてほしい」と希望金額を提示することを指します。もちろん売り出し価格よりも低い金額を提示することが一般的なので、そのことから指値=『値引き交渉』の意味で使われています。
それでは、大家が行う貸家探しでの指値交渉にスポットを当てたメリットとデメリットを解説していきます。
指値交渉するメリット 3選
検索の範囲を広げる事が出来る
希望金額内で物件検索をしていても、時期によっては購入したい物件が全然見つからない場合があります。そんな時こそ指値交渉を前提として、希望金額よりも少し上の金額帯で検索してみると、思っていた様な物件に出会える可能性が高くなります。具体的に言うと『【誰でも出来る!】少ない資金で月5万円稼げる貸家の探し方。』の記事で僕は、不動産検索サイトで300万円代で物件を検索していると言いましたが、指値を前提にすることで400万円を超える物件にも検索の幅を広げる事が出来ます。
条件の良い物件を入手できる
例えば、予算が300万円代と限られている場合、本来は400万円代の物件を購入する事は出来ませんが、指値交渉が上手くいけば、売り出し価格400万円を超えている好条件の物件を、予算範囲内の300万円代で購入することが出来ます。ただし中古物件は、あくまで売り主さんが「この価格で売りたい」と希望している金額で売りに出しているだけなので、一概に300万円代の物件は質が悪くて、400万円代だったら質が良い物件とは限りません。売り出し価格に限らず良質な中古物件を、内見で見極める必要がありますので『【初心者でも簡単!】状態の良い築古物件を判断する内見時のチェックポイント4選。』の記事を参考にしてみて下さい。
利回りを上げる事が出来る
大家が行う指値は、利回りにとっても重要になってきますが、想定家賃を考えて出した利回りを、指値により購入希望金額よりも安く物件を手に入れる事が出来れば、想定利回りを高める事が出来ます。また別のパターンとして、希望金額よりも高い物件を指値で入手して、想定家賃の高い貸家にすることによって、想定利回りを高める方法があります。
指値交渉するデメリット
物件が買えないリスクがある
何と言ってもこのリスクを伴います。指値交渉は必ず成功するとは限りません。指値の条件やタイミングにもよりますが、僕の場合、購入する覚悟があって指値交渉を行っても、成功率50%といったところです。本当に手に入れたかった中古物件に巡り会えた場合、指値する事でその物件を逃してしまう可能性が高くなってしまいます。
この様に、指値を入れる事にはメリットとデメリットがありますが、それでも指値交渉をしてみたいと思っている方に対して、僕が貸家を購入する時に意識している『素人でも出来る交渉テクニック』をご紹介いたします。あくまで知識や難しい技術を使わずに行う交渉テクニックなので、売主さんの背景や物件の状態など多くの条件を考慮した、何軒も交渉をしている様なプロ大家さんが使う指値交渉術では無いことをご了承ください。
指値交渉のテクニック 3選
まずは、大前提として売り主さんは『提示している売り出し価格で売りたい』と考えていますので、その気持ちを尊重した上で指値交渉を行います。とはいえ原則的には、担当の不動産営業マンの方を通して交渉を行うことになりますので、直接売り主さんと会って交渉したりする様なことはありません。
指値テクニック① 物件を褒める
物件に対しての問題点を交渉材料に使うのは絶対にしてはいけません。例えば「駅から遠いし物件も古いから、値引きしてくれたら買うわ」などと交渉してしまっては、売り主さんとしては大切にしてきた持ち家を貶されている事となり、ほとんどの場合怒らせてしまうことになるので、指値交渉が上手くいくことはまずありません。「とても良い家で、ぜひ購入したいけれど予算が○○円なので、○○円で売って頂けないでしょうか」と、この様な感じで「この買い主になら売ってあげたい」と思われることが大切です。
テクニック② 指値額は50万円引き
一般的な常識の範囲内での指値幅は10%程度となっています。僕は貸家を検索する場合、希望価格が300万円代なので、売り出し価格で400万円代の中古物件に対して、50万の値引き交渉を入れる事によって300万円代で購入できた成功例があります。
テクニック③ 現金一括購入する
売り主さんの中にはさまざまな理由により、早く物件を売って現金化したいと考えている方もいます。そういった売り主さんに対して「現金一括で即購入出来る」ということは、買い主側のかなり大きな交渉材料となります。ローンを活用して購入したいと考えている購入希望者も意外に多いだけに、そういった競合の中で優先して交渉に応じてくれる可能性が高くなります。
以上の3つが『素人でも出来る交渉テクニック』のご紹介でした。これをすれば必ず指値交渉が成功するといったものではありませんが、この3つのテクニックを組み合わせることによって、僕が検索している価格帯の中古物件では、実際に指値交渉に成功して購入出来た事例もありますので、初めて指値交渉をしてみるといった際などに参考にしてみて下さい。
では最後に、指値交渉を行う際の注意点もお伝えしておきます。
指値交渉の注意点 2選
注意点① 欲しい物件には指値交渉してはいけない
デメリットでもお伝えしましたが、本来の購入希望金額内でどうしても購入したいと思える様な物件に出会えた場合、指値交渉することでその物件を入手できる可能性が低くなってしまいます。ましてや競合している場合、1番手で購入希望できるにもかかわらず、指値交渉を前提としてしまっては、確実にその物件を逃してしまうことになります。指値交渉は『ダメだったら諦める』物件に対して行うようにして下さい。
注意点② 指値交渉に成功した場合は必ず購入する
不動産購入は買い主にとっても覚悟がいる事ですが、売り主さんにとっても大切なものを手放す覚悟がいる行為です。安易な気持ちで指値を入れるのではなく、実際に交渉に応じてくれた場合は、必ず購入するという覚悟を持って指値交渉を行ってください。もし交渉成立後に「やっぱり買うのをやめた」なんて行為をしてしまうと、売り主さんはもちろん交渉を行ってくれた不動産営業マンの方も怒らせてしまうことになります。不動産業界は狭いので、悪質な買い主として情報が回ってしまうかもしれませんので注意して下さい。
まとめ
当記事でお伝えしてきた通り、指値交渉は不動産売買の現場でよく行われている行為ですので、決して指値交渉してみたいと思う気持ちは珍しいことではありません。
ただ売り物件の中には、端から指値交渉を受け付けていない売り主さんもいたり、担当の不動産営業マンに指値希望を出しても「難しいと思います」と言われたりすることがあります。
それでも指値交渉が可能か希望を出してみることは買い主の自由ですし、僕自身ダメ元で指値して、交渉に成功して手に入れた物件を現在賃貸していますので、まずは『素人でも出来る交渉テクニック』を参考にして頂いて、気になった物件に対し、担当営業マンに指値交渉したい旨を伝えてみてもいいのではないでしょうか。
また他の記事では、不動産を売却する際のポイントなども投稿していきますので、副業に興味がある方や、大家さんを始めたばかりの方にとって、当ブログが少しでも参考になれば幸いです。

