皆さんは再建築不可という物件があることをご存じでしょうか。もしネットでマイホームや、大家さんになって貸家を探されることがあれば、備考欄に『再建築不可』と書かれている物件を目にすることがあると思います。
文字どおり『建て替えが出来ない』物件の事で、更地にして新築を建てることが出来ません。
「いやいや、そんな物件誰が買うねん?」と思ったそこのあなた。
確かにマイナスな不動産をあえて購入する物好きなんているわけ…、ここにいました!何を隠そう、僕は再建築不可物件を1軒所有しています。
ただ先に結論を言っておくと「再建築不可物件には手を出すな!」です。何故かというのは後でご説明します。
では僕自身、再建築不可物件を買って後悔しているのかと言ったら「買ってよかった」です。
どっちやねん!と思われるかもしれませんが、このページでは僕が何故、手を出してはいけないと言われている再建築不可物件に、あえて手を出したのかを事例と共にご紹介していきます。これはあくまで1例ですので、エンターテイメントとして楽しんで読んで頂けたら幸いです。
それではまず、再建築不可物件について詳しくご説明していきます。
再建築不可物件とは
再建築不可物件とは、主に建築基準法で定められている接道義務を満たしていないことが原因で、建物を取り壊してしまうとその土地に新たな建物を建築する事が出来ない物件のことを言います。
接道義務とは
接道義務とは、物件が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないというものです。
接道義務を満たしていない再建築不可の理由として
- 敷地が道路に接していない
- 道路に接している間口が2メール未満
- 建築基準法上の道路(幅4メートル以上)に接していない
などがあります。
一般的には上記の理由で再建築が出来ない場合が多いのですが、その他にもいくつかの理由があります。不動産検索サイトで家を探されている際に、気になった物件が『再建築不可』だった場合は、その理由を取り扱い店舗に確認してみて下さい。
では、大家が再建築不可物件を購入するメリット・デメリットをご紹介しますが、ここではあえて重要と考えられるデメリットから先に解説します。
再建築不可物件を購入するデメリット 5選
建て替えが出来ない
何度も訴えている通り、建て替えが出来ないという条件が最大のデメリットで、他のデメリットも全てこれに関連してきます。更地にしてしまったら二度と建物を建築することは出来ません。
老朽化した時のリスクが大きい
築年数が経過し老朽化してしまうと、建物を解体しなくてはいけなくなりますが、更地にしてしまった後は建物が建てられない土地だけが残り、出口戦略が困難となります。
災害時のリスクが大きい
火災や自然災害などにより建物が損傷してしまっても、建て替えを前提とした解体ができないため、この場合も結果的に再建築できない土地だけが残ります。
融資の審査が通りにくい
再建築出来ないことから資産価値としても低く、不動産投資ローンなどの審査に通る事が難しいため、再建築不可物件を購入したいと思っても、現金で一括購入するか、金利の高いフリーローンなどを活用する必要があります。
売却が難しい
いずれは売却も視野にいれなければいけませんが、建て替えが出来ないリスクに合わせて住宅ローンも使えないので、マイホームを探している買い手にとっても、購入を検討するのが難しくなります。
この様に大家が再建築不可物件を購入する事には、多くのデメリットが存在しています。ではデメリットに対して、購入を検討してもいいメリットにはどんなものがあるか、ご紹介していきます。
再建築不可物件を購入するメリット 3選
物件の価格が安い
デメリットが多い分、相場よりもかなり安く物件を購入出来る可能性があります。一般的な相場は、類似物件に対して半額近い値段で売りに出されている場合が多いので、良質な物件を安く購入して高く貸すことが出来れば、賃貸業の運用利回りを高めることが出来ます。
固定資産税が安い
物件購入後の固定費に、毎年支払わなければいけない固定資産税があります。再建築不可物件はその資産価値に比例して固定資産税も低く設定されていますので、キャッシュフローを高めることが出来ます。
リフォームは出来る
建て替えは出来ないと言ってきましたが、リフォームは問題無く行うことが出来ます。例えば古くなってきた内装を新しい雰囲気のものに変えたり、経年劣化してきたキッチンや浴室を新しい物に取り替えたりして、生活空間をキレイにすることは可能です。
以上が、デメリット・メリットの紹介でした。
ご注意頂きたいのが、今回の内容はあくまで大家視点の内容で、自身で住むマイホームを探している人が再建築不可物件を購入することには、もっと多くのメリット・デメリットを考える必要がありますので、再建築不可の専門サイトが発信しているメリット、デメリットについても、併せて調べてみてください。
サイド大家事例 再建築不可購入の決め手となったポイント 3選
ここからは冒頭でもお伝えした通り、なぜ僕がこんなにもデメリットが多い再建築不可物件を所有しているのかを「買いだ!」と思った理由に沿ってご紹介していきます。
癖が強目な内容となっており、他の大家さんも同じ条件が当てはまるとは限りませんので、あくまで参考程度に留めておいて下さい。
かなりの築浅物件
『【誰でも出来る!】少ない資金で月5万円稼げる貸家の探し方。』で検索した物件は平均築年数30年を超えている物件がほとんどの中、僕が見つけたこの物件は『築19年!』めちゃくちゃ新しい平成築物件です。再建築不可じゃなかったら1000万弱はすると思うこの物件、価格は500万円で売りだされていましたが、現金購入出来る事が条件で指値が通り、400万円で手に入れることが出来ました。これには理由があり、売り主さんが元奥さんと共同名義で購入されていた物件で、離婚したので早く手放したかったらしいです。
この貸家は掃除こそ必要でしたが、一切修繕すること無く賃貸に出すことが出来たので、実質300万円代で購入してDIY修繕を行った他の貸家と初期投資費用はほとんど同じになっています。
重量鉄骨造物件
法定耐用年数が木造建築の場合は22年に対し、重量鉄骨造は34年となっています。実際にはどれだけメンテナンスしてきたかによって物件の耐年数は変わってきますが、一般的には鉄骨造の方が、木造より長持ちすると言われており、老朽化の懸念がある再建築不可物件においては重要な検討要素となります。おまけに鉄骨造は耐火構造となり、火災保険がちょっと安くなります。
近隣が新興住宅街
再建築不可である以上、最悪更地になってしまった場合の土地の活かし方として考えられるのは「駐車場としての需要はあるのか」という事です。僕の購入した再建築不可物件は、周辺環境の広範囲が住宅街となっており、セカンドカー用の駐車場としての需要があるんじゃないかと考え、駐車場運用として活かせば完全な負動産にはならないのではないかと予想しています。
これが、僕がこの再建築不可物件を買ってもいい決め手となったポイントのご紹介でした。結果この築浅の貸家は10年近くほとんど修繕もなく、賃貸し続けてくれています。これが「買ってよかった!」という考えに繋がっています。
まとめ
『再建築不可』と言っても様々であり、僕の様な巡り合いのパターンもあれば、好んで再建築不可物件ばかりを狙っているプロ大家さんなんかもいらっしゃる様です。
ただ、僕がこの記事で最も伝えたいことは「再建築不可物件を購入して後悔している大家さんの方が多い」というのが事実という事です。僕はたまたまですが、相当経験値の高いプロ大家さんでなければ、あえてデメリットが多い再建築不可物件に手を出す必要は無いのではないかと思います。
また他の記事では、指値のテクニックの内容なども投稿していきますので、大家業に興味がある方や、実際に大家さんを始めたばかりの方にとって、当ブログが少しでも参考になれば幸いです。



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