新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅生活を強いられる中で人々は『癒し』を求め、自宅でペットを飼育する方が増加しました。コロナ禍が明けた現在でも、ペットブームは大きくは変わってはいません。
僕の自宅でも、ネコちゃんを一匹飼っています。
今やペットは家族の一員。ペットと一緒に暮らしたいと思われている方もたくさんいらっしゃいます。ただ、賃貸暮らしの方においては、飼いたくても飼えない方が多いのが現状です。
「え、賃貸物件ってペット飼われへんの?」と思われたそこのあなた。
現在市場に出ている賃貸物件の中で、ペットが飼育出来る物件の割合はおおよそ2割と言われており、ほとんどの物件でペット飼育が出来ないのが現状となっています。特にマンションやアパートなどの集合住宅では、ペットの鳴き声や臭いなどの隣人トラブルを避けたいと思う大家さんが多数います。
まだまだ賃貸物件全体で数が少ないペット可能物件ですが、そこでその需要を満たすことが出来るのが、我々『戸建て大家』の役割ではないでしょうか。
当ページは、大家歴10年になる僕が実体験で得た気づきを基に、貸家をペット飼育可能にするメリット・デメリットを紹介する内容となっています。戸建て大家目線で記事を書いていますので、エンターテイメントの1つとして楽しんで読んで頂けたら幸いです。
それではまず、ペット飼育可能物件とは何か、大家目線で解説していきます。
ペット飼育可能物件の現状
ペット飼育可能な賃貸物件とは
ペット飼育可能賃貸物件とは、文字通りペットが飼える賃貸物件の事です。ただし一概にペットと言ってもいろんな動物がいますので、どんなペットでもオッケーというワケにはいきません。あらかじめ飼育可能なペットの種類や何匹まで飼育して良いかなど、導入するにあたり一定のルールを決めておく必要があります。
ペット飼育可能物件の需要
ペットを飼いたいという需要があっても、集合住宅ではペット飼育可能な物件が少なく、まだまだ賃貸ではペットが飼えないのが現実です。一方で戸建ての賃貸物件ではペット可能な物件も多く、ペットを飼育したい方は始めから戸建てに絞って賃貸物件を検索される場合もあります。
では、貸家をペット飼育可能物件にするメリットとデメリットを解説していきます。
ペット飼育可能物件のメリット 3選
予算を掛けずに、空室対策が出来る
運用している賃貸物件をペット飼育可能にする最も大きいメリットは、空室対策として一切費用が掛からないという事です。一般的な空室対策は、例えばセキュリティを強化するために物件に防犯カメラを設置したり、暖房設備として床暖房を設置したりと、一定の予算が必要になってきたりします。対してペット飼育可能物件の導入は、大家がペットの飼育を許可するだけなので、設備投資を行う必要がありません。飼育に必要な設備は飼育するペットに応じて入居者が用意します。
入居申し込み率が上がる
ペットを飼いたいという需要は多いので、ペットを散歩させられる公園があったり、動物病院が近くにあったり、ペットを飼育するのに良い環境であれば、ペット飼育を許可するだけで、仲介不動産会社から入居希望の問い合わせ連絡がかなり増えます。
長期間、入居してくれる場合が多い
一度ペット飼育可能物件に入居されると、ペットとの生活を第一に考える入居者が多く、頻繁な環境の変化はペットにも大きなストレスを与えてしまうので、よほどの事情が無い限りは短期間で退去される可能性は低いです。もしペットを飼育していて引っ越しをされる場合は、転居先が同じペット飼育可能物に限られてしまいますので、退去のハードルが高い為、長期間入居することを前提とする傾向にあります。
では次に、ペット飼育可能物件を導入した場合のデメリットを解説していきます。
ペット飼育可能物件のデメリット 3選
物件に対して破損や臭いが付く
ペット飼育可能を導入する事で大きなデメリットとなるのが、物件へのダメージです。ペットを飼育していない物件と比べて、どうしても壁や床に爪や牙などによる傷が多くなってしまいます。それに飼育期間の長さによりペット臭が部屋に染付いてしまいます。
近隣住民とのトラブルが発生する可能性がある。
ペットを飼育したい人がいる一方で動物が嫌いな人もいます。中にはペットの鳴き声や臭いにたいしてストレスを感じてしまう人もいるので、そういった近隣住民と入居者との間でトラブルが発生する可能性があります。
害虫が発生しやすくなる
飼い主の管理がずさんで、ペットの餌を放置したり、トイレの消臭もしなかった場合、ペット自身が発する臭いも強くなってしまい、害虫予防もしていなければ、ペットを飼育していない家庭と比べて、貸家の中でゴキブリやコバエなどの害虫が発生する確率が格段に高くなります。
以上が、貸家をペット飼育可能物件にした場合のメリット・デメリットの紹介でした。
簡単にご紹介しましたが、実際には所有している貸家をペット飼育可能にする事にはもっと数多くのメリット・デメリットが存在していますので、賃貸オーナー向けの専門サイトが発信しているメリット、デメリットについても、併せて調べてみてください。
では最後に、僕自身の貸家の運用事例をご紹介していきます。
サイド大家 ペット飼育可能物件の運用事例
ペット飼育可能物件として、入居募集をかけた時の反応
まず僕の所有している貸家は、全てペット飼育オッケーとして賃貸に出しています。そして入居募集中の反応状況は、ペットの飼育に関する問い合わせが全体の半数近くを占めています。さらに今まで入居して下さった方々の約半数が実際にペットを飼育されています。つまりペット飼育可能物件として貸家を運用していなければ、駅から遠い立地条件などを考慮すると、かなり入居付けに苦戦することが予想されます。
問い合わせ内容としては、ペットの種類と何匹まで飼育可能かという内容が多く実際にあった問い合わせとして「犬を5匹飼いたい」という要望もありました。流石にそれはお断りさせて頂きましたが、基本条件としてペットは1匹と小型犬か猫であれば、賃料などの募集内容は変更無しで対応しています。
ペット飼育可能物件での退去事例
ペット飼育可能物件のメリットで、長期間そこで暮らすことを前提として入居される方が多く、ペットを飼育している間に退去される確率は低いとお伝えしましたが、ペットが亡くなってしまったタイミングで退去されていった経緯があり、このことを考えると、ペット飼育希望者が何らかの理由でペットを飼わない状況になると、逆に退去の可能性が高くなると考えられます。
ペット飼育可能物件にしたことによってのマイナス点と対応策
今までペット飼育可能物件を導入したことによって、近隣トラブルに発展したことはありません。ペット飼育希望の入居者の印象として、物件を大切に扱わなければいけないといった意識が高い方が多く、近隣住民とも良好的な関係を気づいて下さる方が多いイメージです。また、戸建ての住宅街に関しては、近隣住民もペットを飼育している方が多いので、ペットへの理解度も高いことからトラブルに発展する可能性が低いのではないかと考えています。
では、僕自身ペット飼育を許可したことによって一切問題が起きなかったかと言うとそうではなく、『【消えた入居者!】大家歴10年の僕が体験した怖~い話。』で投稿しましたが、夜逃げ案件では、飼育で使っていたであろうペットゲージや餌を入れるボウル、ペットのおもちゃ、そして餌の残りまで、ペット用品一式が残置されていました。ペットをちゃんと連れていっただけでも救いでしたが…。
夜逃げするような人間は例外ですが、トラブルへの対応策として、入居者がペット飼育を希望している場合は、賃貸借契約書の特約事項に『ペットの飼育による破損・汚損は借主の実費負担とする』という文言を入れています。この特約が入っているだけで、入居者自身も貸家を大切に扱わなければいけないという意識を高めてくれますので、退去立ち合いでも大きな破損等を発見したことは無く、実際には特約事項の実費を請求したことは一度もありません。ただペット臭だけは退去後も残ってしまう事が多いのですが、今までに貸家を大切に扱って頂いた感謝の気持ちを込めて、僕自身でペットショップで購入した消臭剤を駆使して、DIYで物件のペット臭を脱臭しています。
まとめ
今回の記事では、所有している賃貸物件をペット飼育可能にした場合のメリット・デメリット、そして実際に運用してみたときの事例などをご紹介してきました。
ペットブームと言っても、大家自身が動物嫌いやペットアレルギーなどで、ペットを飼ってほしくない場合は『ペット飼育不可』にすべきです。ただ戸建て大家の場合、貸家をペット飼育オッケーにするだけで、予算をかけずに他の賃貸物件との差別化を図ることが出来ますので、上記の様な理由が無い場合や、修繕やトラブルなどのマイナス面を許容できるのであれば、自分の貸家に空室対策としてペットオッケーの条件を導入してみてもいいのではないでしょうか。
また他の記事では、大家をしていて発生したトラブル話なども投稿していきますので、副業に興味がある方や、大家さんを始めたばかりの方にとって、当ブログが少しでも参考になれば幸いです。

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